最低限と最高――中田選手を見ていて感じるのは、岡本選手や坂本選手にしても、ゲームの局面で最低限の仕事をしようというバッティングをする。一方の中田選手は常に最高のバッティングを求めてしまっているように見える……。
「確かにそうかもしれないですね。やっぱりそこで最高の結果を求めるのはバットマンとしては決して悪いことではない。でもチームプレーヤーとして、チームが勝つために自分がいま何ができるのかということを考えたら、そこにはもう1つ答えがあるかもしれない。そう考えた方が少し、打席には楽に立てるかもしれないですね」
「逆に彼も巨人というチームに馴染まないとね」
――印象に残っているのは4月7日の広島戦の初回に満塁で岡本選手が左中間に二塁打を打ちました。ただそのときの岡本選手は高めのボールを右手で押し込むように打って明らかに、本塁打を打つというより最低でも外野にフライを上げて犠飛を打つというバッティングをしていた。その結果の二塁打でした。しかしなお無死二、三塁で次打者の中田選手は初球をフルスイングして捕邪飛に倒れた。そのときに松井秀喜さんがよく「最低限の仕事」ということを言っていたのを思い出したんですね。「巨人の主軸打者としては当たり前のことなんです。確かに中田も悩んで、最高の結果を求め過ぎているということはあるかもしれない。そこは逆に彼も巨人というチームに馴染まないとね。いいところは染まらないと。自分の個性は個性でいいんだけど、プロ野球の個性というのは、結果であり、技術だから。何もカッコが特別だとか、言動がどうだとか、そんなのは個性じゃない。個性というのは技術。そこはいい意味で染まって欲しいですよね。自分のことで必死だと思うけど、むしろチームのために最低限の仕事を考えてバッティングをする。それくらいの方が気持ちも軽くなる。本塁打を打てなくても犠牲フライを打つことに喜びを感じるようになれば、彼自身の野球観も変わってくると思いますよ。その辺もこれを機にどう考えるかでしょう。中田が現状をどう受け止めるか。いまのままでは話にならない訳ですから」
――選手というのは、年齢を重ねてきたときに、どこかで自分を変えていかなければならない。坂本にしても中田にしても、そういう転機であることは間違いないということですね。