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左手デバイス
生産性
動画編集
作成日 : 2022-04-19

[TourBox Elite : Review] 左手デバイスは銀の弾丸ではないが、とても良い

これは TourBox Elite

クリエイター向けの左手デバイスです。テンキーを左手デバイスとして使ったことはありましたが、正式なツールを使うのは初めてです。


※提供を受けました(ありがとうございます)


主な特徴

  • 高度なカスタマイズが可能
  • 「TourBox NEO」が Bluetooth 接続を備えたバージョン
    • 有線接続も可能
  • 電池式(単 3 * 2 本)
    • バッテリー内蔵式は劣化がある
    • 電池式は、容量がなくなってもすぐ交換できる
  • 結構重い(425g)
    • 持って使うものでは無いので安定感があって良し

...細かい機能は

公式サイトや他レビュワー様を参照してください。


使ってみる

Davinci Resolve


「カット編集」のみに絞って機能を割り当てました。

カット編集は、一つのタイムラインの中で「時間の変更」「編集点の追加」「トリム」などの単純な操作を何度も何度も繰り返します。この様なワークフローには左手デバイスは適しています。


製品が届いてから数日しか使用していないため、まだ手が馴染まずにストレスを感じすることは多々ありました。

この状態でもカット編集はスピーディにできているため、充分に慣れれば効率が上がることは間違いないと思います。



特にダイヤルに割り当てた、「フレーム移動」と「ズームイン・アウト」が便利です。

キーボードとマウス操作だと連続した操作がやりにくいのですが、ダイヤルだと回すだけで直感的に操作ができます。

AfterEffects(断念)

AE は数値や座標の変更(入力)、エフェクトの適用、複数レイヤー間の作業などを多用します。これらの操作を限定的なボタンに閉じ込めるのは非常に困難です。


AE にも、レイヤーの位置プロパティを開く「P」、スケールの「S」、アンカーポイントの「A」という様なショートカットが存在します。

これらは非常に便利なショートカットで、この様な操作を TourBox に割り当てるのは可能です。しかし、カット編集の様に短時間で何度も連続してするような操作ではありません。


マウスとキーボードを主として操作する中で、「単純な操作だけは左手デバイスを使う」というのは逆にワークフローを邪魔することに繋がると感じ、仕様を断念しました。

製品自体の感触


良かった点

  • 「サイドボタン+何か」という同時押しがしやすく、操作の幅が広がる
  • 3 つのホイールの形状が異なるので、どの操作か混乱しにくい

気になった点

  • 中央のホイール(ノブ)の高さが高い
    • 奥のボタンを押すのに少し邪魔になる
  • ノブ、ダイアルの押下が重い
    • ワークフローに自然に組み込むには必要な力が大きい

持ち方

正しい持ち方は左ですが、右のように逆向きで持ってみるとこれも結構使いやすかったです。


ダイヤルに親指がかかり、スクロールとノブに人指し指が自然に届きます。

やや押しにくくなるボタンもありますが、ホイールメインで使う場合はこれもありだと思います。

おすすめできる?

ワークフローをこのデバイスに最適化できる作業(カット編集など)を多用する人は、充分に買う価値があると思います。全部のボタンを使いこなすのは難しいですが、ホイールが 3 つあるのがとても便利です。


左手デバイスは銀の弾丸ではない

設定と操作の習熟が必要

ワークフローを向上させるようなツールや製品を購入したとしても、充分な修練もなしに成果は得られません。 自分に適したカスタマイズを試行錯誤する必要もあります。良いレビューを鵜呑みにして、「これを使うだけで効率が爆上がり!?」とは思わないようにしましょう。


キーボードショートカットも使いこなせない人が闇雲に左手デバイスを導入しても、更なる混乱を招くことになりそうです。

充分な性能を得るには役割を特化させることが大事

すべてのワークフローに組み込もうとすると却って生産性を落とすことに繋がります


向いている役割

  • 操作の選択肢が少ないが、回数は多い作業
    • Premiere のカット編集、イラスト制作でのツール切り替え

この様な作業では、操作を集約した左手デバイスが充分に活躍します。


不向きな役割

  • 操作の選択肢が多く、操作毎の回数が少ない作業
    • AfterEffects 等の VFX ソフト
    • Excel などの一般的な GUI ソフト

これらは従来のキーボードとマウス操作が適していると思います。

時々しか使わない人は

動画編集やイラスト制作を 1 週間に 1 度程度しかやらない!というような人は少し注意が必要です。


習熟コストが毎回かかる

毎回このデバイスの操作感を思い出して慣れるとこから作業を始めることになります。多少非効率的でもマウスとキーボード操作で問題ない場合は、敢えて別のワークフローを導入する必然性は無いかもしれません。

デバイスに依存してしまう

キーボードやマウスは、別の製品でも操作感にある程度の互換性があるので、別の製品を使う場合でも少しの時間で慣れることができます。Tourbox などの専門デバイスは、使えない状態ができた時別のワークフローに再度変更しなければいけません。毎日バリバリ使う人はその価値がありますが、たまにしか使わないという人は少し注意したほうが良さそうです。

良い製品であることは間違いない

カスタマイズツールはとても使い勝手が良い


製品に付属するツールは、設定するための階層が深かったり、直感的に操作できなかったりすることが多い印象です。TourBox Console は 1 階層でほとんどの設定を直感的にこなすことができます。ワークフローを向上させるためには自分にあったカスタマイズを追い求める必要があるため、設定が簡単だといろいろなカスタマイズをすぐに試すことができます。

キータッチが良好

ぐにゃぐにゃとした感触や軸ズレなどはなく、「カチッ」とした気持ち良いキータッチです。

アプリ毎の切り替えや動作に不具合がない

「Davinci Resolve」「Premiere Pro」「AfterEffects」などのアプリごとに固有のプリセットを保存することができます。プリセットはアクティブなアプリに応じて自動で切り替わり、タイムラグも殆どありません。

Bluetooth 接続

PC 周辺機器はケーブルが無いと取り回しの自由度が格段に向上します。

Bluetooth なので多少の遅延も覚悟していましたが特に感じることはなく、安定感のある操作ができました。

最後に

良いデバイスであることは間違いありませんが、導入するだけですぐに生産性が上がるということはありえません。自分にあったカスタマイズの追求と、デバイスの操作の習熟、そしてもちろん創作対象に対するスキルアップ自体が重要です。


また、少しお値段が高いのでお財布の中身と相談して購入を検討してください。


では、良い創作ライフを!

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