※この記事は書きかけです
個人的に評価する「HHKB の良いところ」
はじめに.HHKB の良いところ 5 項目
- 基本的な質の高さ
- タイピングの楽しさ
- コンパクトさ
- 独自のキー配列
- ブランドの強さ
- HHKB Hybrid の存在
「コンパクトさ」「独自のキー配列」は欠点ともなりえますが、そこについては別記事にて記述します。
また、本記事では主に US(英語)配列を前提としています。JIS(日本語)配列は US 配列より尖った特徴が少ないため、US 配列のみの部分は飛ばしてお読み下さい。
HHKB Hybrid Type-S 白 英語配列
良いところ 1.基本的な質の高さ
HHKB を良いキーボードとして成立させるためには、尖った特徴の前にキーボード自体の質の高さが求められます。
- キーボード本体の作りが堅牢
- キートップの質が高い
- 昇華印刷という製法により文字が消えにくい
- スタビライザーがキートップ直下にないので掃除がしやすい
全体的な作りの質が高く不安な点がありません。
これらは Realforce を製造している東プレの技術によるものですので HHKB 独自ではありませんが、非常に重要な特徴となっています。
キーボード本体の作りが堅牢
安物のキーボードにありがちなプラスチック特有の光沢やバリは当然ながら存在しません。静電容量無接点方式によってスイッチ接点の劣化が抑えられることも堅牢さの一端を担っています。
キートップの質が高い
キートップの材料には主に ABS 樹脂と PBT 樹脂が使用されます。
- ABS 樹脂 : つるつるした質感。安価で加工がしやすい。耐久性は低く、日光による劣化や摩擦による摩耗(テカテカした質感になる)が起きる
- PBT 樹脂 : サラサラした質感。ABS より高価で融点が高いため加工がしづらい。耐久性が高く、融点の高さから昇華印刷が可能
HHKB や Realforce には PBT 樹脂のキートップが採用されており、手触りが良く高耐久です。
昇華印刷という製法により文字が消えにくい
プラスチックの上に塗るように色を付ける製法では、指の摩擦やその他の要因によって色落ちが発生します。昇華印刷はインクを昇華(気化)させてプラスチック自体に染み込ませる手法です。色落ちのしにくく、印刷についても耐久性の高い製品となっています。
スタビライザがキートップ直下にないので掃除がしやすい
キーストロークが深いキーボードには、大きいサイズのキー(スペースキーやエンターキーなど)を安定させるためのスタビライザという金属製の部品があります。メカニカルスイッチを使用した自作キーボードではよく見られる部品です。この部品は外れやすいのに加え、動作性の向上ためにグリスという潤滑剤を塗ることが多いため触ることは推奨されません。
自作キーボードや、HHKB と同じ静電容量無接点方式でサイズもほぼ同じの「NiZ の Atom66」という製品ではこのスタビライザがキートップのすぐ下にあり、キートップを外すと部品が露出する形となります。HHKB ではスタビライザはプレート内部に埋め込まれ、露出はしません。
キートップの間に隙間があるタイプのキーボードではゴミが入り込みやすいため定期的な掃除が必要です。HHKB はキートップとスペースキーを押し返すバネを外せば後は気を使う部品が無いため、掃除がしやすいのが特徴です。エアブローや布なので綺麗にしてしまいましょう。
良いところ 2.タイピングの楽しさ
HHKB といえばその打鍵感がまず話題に上がります。よく勘違いされるのですが、単純に軽い押し心地というわけではありません。滑らかな押し心地の中にシャキッとした感覚が加わり、そこに良い打鍵音が重なることでタイピングをしていて非常に楽しいキーボードに仕上がっています。
※通常モデルは私には少々煩いですが
打鍵感は好みや表現の幅が大きく、伝えるのが非常に難しい点です。
静電容量無接点方式
静電容量無接点方式だから打鍵感が良いという様な根拠のない言葉が蔓延っています。
静電容量無接点方式は一言で言えば物理的な接点を持たない方式です。私は、この方式自体が生み出す打鍵感の良さは正直言って存在しないと考えています。
しかし、接点が無ければスイッチの ON/OFF のための力が不要になるので、荷重の調整を打鍵感の向上のみに注力できるということになります。加えて、メンブレンスイッチでは避けて通れないスイッチを押し込むための底付きが必須ではなくなります。
この要因が結果としてメンブレン、パンタグラフ、メカニカルといった他の方式とは違った打鍵感を生み出すことに成功しています(と私は考えています)。
接点方式の詳しい違いについてはこちらの記事を御覧ください。
Realforce と HHKB
Realforce と HHKB は同じ静電容量無接点方式で価格の高いキーボードとして良く比較されます。部品の製造が東プレで共通しているので、当然打ち心地は同じものと思ってしまいますが、私は Realforce と HHKB には大きな差を感じます。
あえて言葉にするのであれば Realforce は確実なキータッチ、HHKB は楽しいキータッチという感覚です。
Realforce はプロ向け、HHKB はその名の通りハッカー向けという言い方で何となく伝わるでしょうか?
良いところ 3.コンパクトさ
- フルサイズ : 455mm * 142mm
- テンキーレス:365mm * 142mm
- MagicKeyboard : 279mm * 115mm
- HHKB : 294mm * 120mm
HHKB を見るとそのコンパクトに目を惹かれます。
テンキーありのキーボードに比べて 約 55%、テンキー無しと比較しても 約 67% の大きさです。Apple の MagicKeyboard などの薄型キーボードと比較すると厚みはかなりありますが、サイズはほとんど変わりません。
コンパクトでありながらもキー自体はフルサイズですので、打ちにくさが無いのも安心です。
重量も 500g 程度ですので、カバンに入れて家と職場間、またはカフェなどの好きな所へ簡単に持ち出すことができます。使わない時に机の端に置いても邪魔になりません。
残念ながら、ノートパソコンのキーボードや他の一般的な薄型キーボードと比較するとコンパクトとは言えません。
それでも私は HHKB を選びます。コンパクトであれば良いわけではなく、機能と性能がこのサイズに収まっていることが重要なのです。
良いところ 4.独自のキー配列
HHKB はただコンパクトなだけでなく、独自のキー配列も持っています。
- ファンクションキーの列がない。
- 方向キーが単独で存在しない。(※US 配列のみ)
- Esc と Delete が1列分下に移動している。(※Delete は US 配列のみ)
- A の横に Control キーがある
- 左右に謎のスペースがある(※US 配列のみ)
- Fn キーとの組み合わせを多用する
これらの特徴全てが腕の移動を減らすことに成功しています。当然欠点もありますが、「腕の移動を減らす」配列であるということを覚えておいて下さい。
良いところ 5.ブランドの強さ
世の中には様々なキーボードが存在しています。
家電量販店で買えるものから、個人制作のものまで本当にたくさんあります。
特に個人制作のものは千差万別で、中にはキーが 30 個しかないものや、左右に分かれているものも存在しています。
残念ながら特殊なキーボードを追い求めても、購入までのプロセスが困難なもの、個人販売でもう入手ができないもの、質が低いものなども多数存在しています。
HHKB は一般的なキーボードとは違うコンセプトを持ちながらも、非常に手軽に入手をすることができます。値段は高いですがアクセサリーも販売されています。
入手性、サポート、将来性などは製品を選択する上で非常に重要なポイントです。
日本製であるということを盲信するのは良くないですが、歴史と安心感、また海外にまでファンがいる HHKB という名前自体が持つブランドの強さは大きなメリットです。
良いところ 6. HHKB Hybrid の存在
2019 年末に発売された HHKB Hybrid によって HHKB はほとんど完璧な存在となりました。
有線接続と無線接続の併用が実現、キーボード本体に保存できるキー配列変更機能の追加、更に向上した打鍵感。この 3 つのステップアップが実現したことにより、自信を持っておすすめできるキーボードへと落ち着いたのです。
有線接続と無線接続の併用
Realforce では無線接続はできません。Realforce は主にデスクトップに接続して、高い信頼性と確実性を期待して使用するキーボードです。2021 年現在の無線は技術は進歩してきていますが、未だタイムラグやたまの接続不良はどうしても発生してしまいます。なので Realforce においては無線接続がないということが利点でもあるのです。
しかし HHKB は違います。素晴らしいキーボードをいつでもどこへでも持ち運べるコンパクトさを持っている以上、使いたいときに気軽に接続できることが必要です。そして、信頼性をもった有線接続も求めたくなるものです。この 2 つの接続方式を簡単に切り替えて併用できることはこの上ない利点となります。
キーボード本体に保存できるキー配列変更機能が追加
HHKB のキー配列はそれ自体が特徴ではありますが、使う人によってはさらなるカスタマイズをしたくなります。私もそのひとりです。
キー配列の変更には 2 種類あります。
- OS 上で動作するソフトウェアによって、入力をリマップして変更
- キーボード本体に書き込むことで出力自体を変更
1 の方法では高度なマクロ的使い方や、使うソフトウェア毎に切り替えられるなどの利点がありますが、接続するコンピュータを変えた場合はその設定は引き継がれません。
2 の方法(HHKB Hybrid の方法)はキーボード本体に変更を書き込むことによって、どのコンピュータに接続しても同じように使うことができます。変更には多少の制限は存在していますが、私はキー配列の変更は後者の方法がベストだと考えています。
更に向上した打鍵感
これは主観であり、更に HHKB Hybrid Type-S に限った感覚ですが、一世代前よりも打鍵感が軽さとしっとりさを持ったように感じられます。打ち続けられる軽さと、取りこぼしが発生しにくい手に吸い付くしっとりさを兼ね備えた私の理想のキータッチに進化しました。
HHKB 内の順位づけ
触ったことのある静電容量無接点方式キーボード
試用も含めると今まで触ったことのある静電容量無接点方式キーボードは 13 種類あります。
ブランド | 製品 | 押下圧 | 実用 | 試用 |
---|---|---|---|---|
Realforce | 通常タイプ | 30g | ○ | |
45g | ○ | |||
55g | ○ | |||
変荷重 | ○ | |||
静音タイプ | 30g | ○ | ||
45g | ○ | |||
55g | ○ | |||
変荷重 | ○ | |||
HHKB | Professional 2 | 45g | ○ | |
Classic | 45g | ○ | ||
Hybrid | 45g | ○ | ||
Hybrid Type-S | 45g | ○ | ||
NiZ | Atom66 | 35g (45g) | ○ |
HHKB の順位付け
1 位 : HHKB Hybrid Type-S
上記 13 種類も含めて、2021 年現在一番だと確信しているキーボードは HHKB Hybrid Type-S です。カタログスペックでは静音性があるだけですが、私の体感では通常モデルよりしっとりとしたキータッチが味わえます。
2 位: HHKB Hybrid
機能は Type-S モデルと変わりませんが、Type-S モデルから「S(Silence,Speed)」を無くした所謂「通常モデル」となります。タイピング音やカラカラとしたキータッチが欲しい場合はこちらをお選び下さい。有線/無線接続とキー配列変更機能は必須なので、必然的にこのモデルが 2 位になります。
3 位-1 : HHKB Professional BT
旧モデルで無線接続のみが可能です。
有線接続のみか無線接続のみかはユースケースによるため、次の Classic/Professional 2 との順位付けはできません。
3 位-2 HHKB Classic / HHKB Professional 2
Classic は現行モデル、Professional 2 は旧モデルです。正直あまり変わった印象は有りません。
Hybrid / BT モデルより見た目が洗練されているという点で優れています。無線接続は単三電池を入れる場所が存在するため、キーボードに出っ張りが存在します。打鍵時には目線から隠れる部分なので気になりませんが、全体を眺めたときには少し気になります。有線接続のみのモデルはその部分が存在せず、非常に洗練された見た目となっています。
最後に
これらの特徴が合わさり、HHKB は世界のマニアに好かれるキーボードとなっています。
単純な性能比較と違い、キーボードは最終的には好みの問題になってしまうため説明が非常に難しいのですが、少しでも魅力が伝われば幸いです。
HHKB の使いにくさと欠点を記述した記事も書いていく予定ですので、そちらも是非よろしくお願いします。
動画版はこちら